RSSリーダーの作成
データを保存するための仕組みと、フォームを使ったデータ入力の遷移を作るための下準備をします。データを保存するためにはO/Rマッパー用のクラスを作ります。フォームを使ったデータ入力の遷移を作るためには、ウィジェットを定義します。Webアプリケーションのロジックに直接関係のないクラスは、便利のために独立した「rssclasses.py」というモジュールファイルとして定義することにしましょう。
まずは、O/Rマッパーのクラス部分を定義します。コードの内容は、前回作ったO/Rマッパークラスの定義とまったく同じです。
Rssurlクラス(rssclasses.py)
:::python
#!/usr/bin/env python
# coding: utf-8
import sqlite3
from os import path
from simplemapper import BaseMapper
class Rssurl(BaseMapper):
rows=(('title', 'text'), ('url', 'text'))
p=path.join(path.dirname(__file__), 'urls.dat')
con=sqlite3.connect(p)
BaseMapper.setconnection(con)
Rssurl.createtable(ignore_error=True)
次に、RSS巡回用URLを編集するためのフォームを定義します。フォームはウィジェットとして定義します。新規登録用、編集用に2つのフォームが必要になります。
データの新規登録フォームと編集フォームはとても似通っています。編集フォーム(editforms)と追加フォーム(addforms)の違いは一点だけです。編集用のウィジェットには、編集対象となるデータを指すためにIDというフィールドが追加されています。
前回作ったRSSリーダーでは、編集フォームと追加フォームで、フォームのHTMLとバリデーションチェック用のソースコードが重複してしまっていました。実際、前回のRSSリーダーのソースコードでは、ソースコードが約15行、フォームのHTMLが約20行重複しています。
ウィジェットを使うことによって、HTMLの重複がなくなります。また、バリデーションチェックの処理がバリデータとして抽象化されることで、スッキリ記述できるようになっているのが分かります。
フォーム用ウィジェット(rssclasses.py)
:::python
from validators import NotEmpty, IntValidator, URLValidator
from widgets import Hidden, Text, TextArea, Submit, Reset, Form
editforms=(Text('title', u'タイトル',
validators=(NotEmpty(),), attrs={'size':40}),
Text('url', u'RSSのURL',
validators=(URLValidator(),), attrs={'size':40}),
Hidden('item_id', u'ID',
validators=(IntValidator(),) ),
Submit('submit', u'登録'))
editform=Form(editforms, {'action':'/edit', 'method':'POST'})
addforms=(Text('title', u'タイトル',
validators=(NotEmpty(),), attrs={'size':40}),
Text('url', u'RSSのURL',
validators=(URLValidator(),), attrs={'size':40}),
Submit('submit', u'登録'))
addform=Form(addforms, {'action':'/add', 'method':'POST'})
追加フォームを作る
次にRSSリーダーのアプリケーション本体を作成します。これは「rssreader3.py」というファイル名にしましょう。
まず実際にリクエストを受け取る関数を作ります。今回はWebアプリケーションの開発にWebアプリケーションサーバを活用します。本書で作ったWebアプリケーションサーバを使うには、リクエストを受け取る関数を定義する必要があります。定義した関数にデコレータを使って加工を施すと、リクエストを受け取れるようになります。
まずは、データを追加するためのフォームを作りましょう。バリデーションチェックなどを含めた遷移を実装します。
データの追加を行う遷移一式を作るためには、フォームを表示する関数とフォームのデータを受け取り登録を行う関数の2つを作ります。フォームの表示にはウィジェットを作ります。また、フォームからデータを受け取る関数では、バリデータを使ってデータの妥当性チェックを行います。必要があればフォームの再表示をして、正しいデータを入力するようユーザに促します。
以下が登録の遷移を実現する2つの関数です。前半に必要なモジュールをインポートする部分があります。その後、リクエストを受ける関数が並んでいます。
add_form()関数でフォームを表示し、add()関数で妥当性のチェックやデータの登録を行います。リクエストのクエリは関数の引数となって受け取ることができます。Webアプリケーションを開発するときには、ごく普通の関数を作るときと同じような手法が使えるわけです。なお、この関数には、http://127.0.0.1:8000/add_formのようなURLでアクセスします。また、secured_exposeデコレータを使って、ログインをしないと関数にアクセスできないように指定しています。
新規追加フォーム(rssreader3.py)
:::python
#!/usr/bin/env python
# coding: utf-8
from os import path
from copy import copy
from simpleappserver import expose, test
from httphandler import Response, get_htmltemplate
from simpletemplate import SimpleTemplate
from authentication import secured_expose, relativepath, checklogin
from rssparser import parse_rss
from rssclasses import Rssurl, addform, editform
def get_add_form(values={}, errors={}):
res=Response()
t=SimpleTemplate(file_path=relativepath('form.html'))
body=t.render({'message': u'RSS巡回用URLの追加',
'form':addform,
'values':values, 'errors':errors})
res.set_body(body)
return res
@secured_expose(checkfunc=checklogin)
def add_form(_request, values={}, errors={}):
return get_add_form(values, errors)
@secured_expose(checkfunc=checklogin)
def add(_request, title='', url=''):
res=Response()
values, errors=addform.validate({'title':title, 'url':url})
if [ x for x in Rssurl.select(url=url)]:
errors['url']=u'このURLは登録済みです'
if errors:
return get_add_form(values, errors)
Rssurl(title=title, url=url)
t=SimpleTemplate(file_path=relativepath('posted.html'))
body=t.render({'message': u'巡回用URLを追加しました'})
res.set_body(body)
return res
編集フォームを作る
追加フォームができたので、今度はデータを編集するためのフォームを作ります。追加フォームと同じように、遷移を作るには2つの関数が必要です。1つはフォームを表示する関数edit_form()、もう1つはデータの更新をする関数edit()です。
追加用の関数と同様に、ウィジェットを使ってフォームを表示し、バリデータで妥当性のチェックをし、期待通りのデータが登録されていれば、データを登録します。
追加用の関数と異なっている点は、編集対象となるデータを指定する引数IDが追加されている点です。edit()関数では、引数idを使って編集対象となるデータを特定し、O/Rマッパーのクラスを使ってインスタンスを取得しています。インスタンスのアトリビュートに代入後、update()メソッドを呼ぶことでデータの更新を行います。
編集フォーム(rssreader3.py)
:::python
def get_edit_form(item_id, values={}, errors={}):
res=Response()
t=SimpleTemplate(file_path=relativepath('form.html'))
if not values:
for item in Rssurl.select(id=item_id):
pass
values={'item_id':item_id, 'title':item.title, 'url':item.url}
body=t.render({'message': u'RSS巡回用URLの編集',
'form':editform,
'values':values, 'errors':errors})
res.set_body(body)
return res
@secured_expose(checkfunc=checklogin)
def edit_form(_request, item_id, values={}, errors={}):
return get_edit_form(item_id, values, errors)
@secured_expose(checkfunc=checklogin)
def edit(_request, item_id, title='', url=''):
res=Response()
values, errors=editform.validate({'item_id':item_id,
'title':title, 'url':url})
if errors:
return get_edit_form(item_id, values, errors)
for item in Rssurl.select(id=item_id):
item.title=title
item.url=url
item.update()
t=SimpleTemplate(file_path=relativepath('posted.html'))
body=t.render({'message': u'巡回用URLを編集しました'})
res.set_body(body)
return res
編集用URL一覧ページを作る
新規追加、編集用のフォームができました。次に編集フォームにリンクするリストを作ります。
リストを表示するためには、O/Rマッパーのクラスを使い、RSS巡回用URLオブジェクトをすべて取得します。取得したオブジェクトをリストに格納し、テンプレートエンジンに渡して表示をする、という手順でリストを表示します。テンプレートエンジンとO/Rマッパーのおかげで、コードの構成がとてもシンプルになっています。また、Webアプリケーションサーバを使って開発しているため、関数を定義するだけでレスポンスに対応することができます。
編集フォームにリンクするリスト(rssreader3.py)
:::python
@secured_expose(checkfunc=checklogin)
def listurl(_request):
res=Response()
rsslist=Rssurl.select()
t=SimpleTemplate(file_path=relativepath('urllist.html'))
body=t.render({'rsslist': rsslist})
res.set_body(body)
return res
RSS一覧ページを作る
最後に、登録されているRSSを巡回し、一覧ページを表示するための関数を作ります。まずはO/Rマッパーのクラスを使って巡回用のURLを取得し、rssparserモジュールのparse_rss()関数を使ってRSSをPythonのオブジェクトに変換します。
変換した結果は辞書としてリストに格納します。辞書をリストに格納し、テンプレートエンジンに渡してRSSを表示します。
RSS一覧ページ編集フォームにリンクするリスト
:::python
@secured_expose(checkfunc=checklogin)
def index(_request):
rsslist=[]
try:
for rss in Rssurl.select(order_by='id'):
rsslist.extend(parse_rss(rss.url))
except:
pass
res=Response()
p=path.join(path.dirname(__file__), 'rsslist.html')
t=SimpleTemplate(file_path=p)
body=t.render({'rsslist':rsslist[:20]})
res.set_body(body)
return res
これでRSSリーダーは完成です。
テンプレートの作成
最後にテンプレートエンジンが使用するテンプレートを作成します。作成するのは次の4つです。
form.html
:::html
<html>
<head>
<meta http-equiv="content-type"
content="text/html;charset=utf-8" />
<link rel="stylesheet"
href="/static/style.css" type="text/css"/>
<style type="text/css"><!--
label {display:block; font-weight: bold;}
.error {color: #b21; font-weight: normal;}
--></style>
</head>
<body>
<h1 class="header">${message}</h1>
${form.display(values, errors)}
</body>
</html>
posted.html
:::html
<html>
<head>
<meta http-equiv="content-type"
content="text/html;charset=utf-8" />
<link rel="stylesheet"
href="/static/style.css" type="text/css"/>
</head>
<body>
<h1 class="header">簡易RSSリーダー</h1>
<p class="description">${message}</p>
<a href="./listurl">RSSのリストに戻る</a>
</body>
</html>
rsslist.html
:::html
<html>
<head>
<meta http-equiv="content-type"
content="text/html;charset=utf-8" />
<link rel="stylesheet"
href="/static/style.css" type="text/css"/>
</head>
<body>
<h1 class="header">簡易RSSリーダー</h1>
<h2 class="title">RSSの閲覧</h2>
<div class="control">
<a href="listurl">RSSの編集</a>
<a href="add_form">新規追加</a>
</div>
<ul>
$for item in rsslist:
<li>
<dt>
<a href="${item.get('link', '')}">
${item.get('title', '')}
</a>
(${item.get('pubDate', '')})
</dt>
<dd>
${item.get('description', '')}
</dd>
<li>
$endfor
</ul>
</body>
</html>
urllist.html
:::html
<html>
<head>
<meta http-equiv="content-type"
content="text/html;charset=utf-8" />
<link rel="stylesheet"
href="/static/style.css" type="text/css"/>
</head>
<body>
<h1 class="header">簡易RSSリーダー</h1>
<h2 class="title">RSSの追加,編集</h2>
<div class="control">
<a href="/add_form">新しいRSSを追加</a>
<a href="/">RSS一覧に戻る</a>
</div>
<ol>
$for item in rsslist:
<li>
${item.title}
<span class="control">
<a href="./edit_form?item_id=${item.id}">編集</a>
</span>
</li>
$endfor
</ol>
</body>
</html>
RSSリーダーの実行
このRSSリーダー・Webアプリケーションを実行してみましょう。すでにPythonのWebサーバが起動している場合は終了させてから、「rssreader3.py」を起動します。そしてhttp://127.0.0.1:8000/にアクセスします。
ログインフォームが表示されますので、ユーザ名(user)とパスワード(pass)を入力すると、RSSの一覧が画面が表示されます。操作方法自体はrssreader2.pyと同じです。