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オープンソースソフトウエアの育て方

オープンソースソフトウエアの育て方

この本,実は去年僕が主催させていただいた「LL温泉」がきっかけで人のつながりが出来て,出版にまで至ったのだという話を聞いた。開発者向けのイベントを通じて,このような良書を世の中に送り出すきっかけを作れたのなら,とても嬉しいことである。そのような縁もあって,翻訳者の高木さん,高岡さん(mumumuさん)より献本いただいた。

 

オープンソースソフトウエアがどのような仕組みで作られているのかについて,技術面だけでなく,組織や組織に関わる人々のメンタルな面についてもみっちり解説した本。オープンソースの成立過程や定義から始まって,どのようにプロジェクトを初め,続け,終わればいいのか,ということについて,かなり懇切丁寧に書いてある。

すでに他の方が書評で触れているとおり,「オープンソースプロジェクト」や「コミュニティ」について懇切丁寧に解説した文書というのは実はすごく少ない。ApacheやLinuxの普及度を見ても世の中はオープンソース無しには成り立たない。にもかかわらず,オープンソースソフトウエアがどのように作られ,維持されているかということは,オープンソース無しでは仕事ができないくらいに親しみがあるはずの開発者ですらあまり知らないはずだ。この本を読めば,コミュニティの中で何が行われているかがおおよそわかる。

個人的な認識では,オープンソースコミュニティというのは,開発者にとって最も居心地のいい環境なんだと思っている。つまり本書には,どんな環境が開発者にとって居心地が良くて,維持するためにはどのようなことをする必要があるのか,ということが包括的に書かれているわけだ。現場の開発者はもちろん,プロジェクトを任されるような立場の方にもぜひ読んでいただきたい書籍だ。

最後に,翻訳をされた高木,高岡両氏にはご苦労様と言いたい。

2010-08-27 04:52