清水建設が未来の建築ビジョンとして公開している「Shimizu's Dream」の最新版が最近公開されました。月の赤道11,000キロに太陽電池を敷設して,発電した電力を電磁波などを使って地球に送信しようという計画。地上に太陽電池を置く場合と比べ,月には大気がないので気候の影響を受けづらい,赤道を一周するように電池を施設すれば月食などをのぞき連続で発電が可能,といった利点があります。
建設や運用の方法など,かなり具体的に練り込まれていて面白いです:-)。
建設の方法
太陽電池などを作るのに必要な資材のほとんどは月面上に存在が確認されています。水素を地球から持ち込んで,月の土壌から取り出した酸素と混ぜて水ができます。月から取り出した素材を使って,セメント,グラスファイバーなど建築用の資材をまかなうことができます。
資材の抽出,建設は遠隔操作のロボットが担当。機械類は地球からバラバラに送り出して宇宙で組み立てて設置,宇宙飛行士のチームがロボットの補助に当たります。
運用,施設
月面上では,太陽電池を含め関連施設がぐるっと赤道を周回します。
- 月の赤道11,000キロを,数キロから400キロの幅で太陽電池で覆います
- 太陽電池から変換施設まで電力を運ぶケーブル
- 直径20キロの電力送信アンテナ
- レーザー電送施設
- 物資運搬用の道路
- 太陽電池生産プラント。自動的に月面を移動しながら,太陽電池を施設してゆきます
SFのような話にも読めますが,個人的にはかなり「現実的な計画」のように思いました。規模,経済(あと政治)の問題は別にして,技術的には超えるべきブレークスルーがほとんどなく,既存技術で実現可能と思います。
大変な世の中,たまには夢のある話もしてみたいですね:-)。