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PyCon DC 2005/1日目午後

PyCon DC 2005/1日目午後

PyCon DC 2005初日午後の速報です。

各発表は30分ほどと短いですが,発表の後に「Open Space」を使ってより深いディスカッションをする,という形式でカンファレンスは進みます。

SchoolBell - Zope 3 based calendar server

Zope 3ベースの中規模実装としては割と有名なSchoolBell(http://schooltool.org/schoolbell)のお話。学校向けのカレンダーサーバです。Zope 3とTwistedをベースに作られています。

設計が柔軟で,登録した学生同士の「関連性」をオブジェクトのリファレンスとして表現できる層です。ちょとしたSNSみたいな機能を備えているようです。

matplotlib from Brain survey to Rocket Science

matplotlib(http://matplotlib.sourceforge.net/)という,数値データの解析およびビジュアライゼーションのモジュールの事例紹介。商用製品でそろえるとかなりの値段がするものを,Python+OSSなソフトを使ってツール類を構築しているということでした。

写真は,測定した脳波パターンをもとに画像処理を施しているところ。数値のビジュアライゼーションだけでなく,TeX形式の数式パーサを内蔵していて,これを元にしたグラフ描画および数式の表現にも対応しているそうです。

あ,そうそう,この人IPython使ってました。

Building Responsive GUI Web Application

「Responsive GUI Web Application」とは簡単に言うと最近話題のajaxなんだけど,ご本人はajaxという言葉を意識的に避けて,あるいは注意深く使っているようでした。

PythonベースのNevow(http://nevow.com/)というフレームワークの紹介。glucoseの安達君がアメリカ人だったらこんなかんじなのかな,と思いました。

Design Pattern and Python OOP

Python Cookbookの編者の一人でもあり,またPython in butsshell(http://www.oreilly.com/catalog/pythonian/index.html)の著者でもあるAlex Martelliさんの講演。Pythonを使ってデザパタを実現するための手法を,Coockbookにある実例を示しつつ紹介します。

PyPy and the Type Interface

スイス在住メンバーを中心に開発が進められているPyPy(http://codespeak.net/pypy/)の現状。Armin rigoさん。 PyPyとはPython自身の実装をPythonで行うという試み。 PythonのPython実装なのでむちゃくちゃ遅い(4000倍!)わけですが,言語の実行過程をそのまま見ることができるので,たとえばコードを元にアルゴリズムや遷移の視覚化などがたやすく行える。コードを食わせてアルゴリズムを視覚化したり,Pythonのモジュールの依存関係を図示したりといったデモをしていました。

また,実装は言語への依存性が低く(=多言語にも応用でき),かつ多言語のCode generationなどをさせることもできるそうです。

Localized Type-Inferencing in Python

Brett Cannonさんの英語は単語の切れ目がなくて聞き取りづらかった。ええと,Dynamic TypingなPythonの変数のタイプに制約条件を付けることで速くなるのかな?,というセッション。以下にプレゼンシートが公開されています。

http://www.python.org/pycon/2005/papers/11/PyCon%202005.pdf

Haskelには同種の機能が組み込まれているんだそうですね。知らなかった。

A Layered Event System to Provide Method Extensibility

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Jim Fullton再登場。「イベントモデル」をPythonで実装するお話。Zope 3でも使われていますね。Zope 2ではフック関数が利用されていたのだけど,フックは設計変更に弱いなど柔軟性に欠ける反面,イベントモデルは比較的設計変更が柔軟に行えるという利点があります。Zope 3で使われているイベントはType specificで,一般的な「イベント処理」だけでなくセキュリティモデルの実装など様々な場面で利用されて行く予定だそうです(すでにそうなっているのかな?)。

Zope3のコードをみるにつけ,清く正しく「今風に」設計されているのね。慣れるまで面倒くさそうだけど。まあフルスクラッチならではということでしょうか。

途中で「もう一人のJim」であるところのIron PythonのJim Huguninからつっこみが入る。新旧Jim対決である。コンビを組んで漫才やって欲しい(やらないと思うけど)。


会場にはフリーのドリンクが用意されています。 ソフトドリンクの他にコーヒーも飲める。大学の構内なので,食堂などで軽くお食事することもできます。ボランティア運営であるにもかかわらず,至れり尽くせりです。

さて,明日はGuidoのKey noteがあります。何をしゃべるのか楽しみです:-)。

2010-08-27 04:33