ウィジェットを作る
Webアプリケーションの開発をより効率的にするために、ウィジェットが有効である、ということが分かっていただけたでしょうか。ウィジェットに対する理解を深める意味もこめて、実際にウィジェットを作ってみることにしましょう。
Webアプリケーションで利用するウィジェットに求められる最小限度の要件は、フォームを部品として扱い、フォームを表示するためのHTML文字列を出力する、という機能です。今回作るウィジェットでは、HTMLを出力する機能に加えてバリデータも登録できるようにしましょう。ウィジェットを使って、フォームの表示とバリデーションチェックを行えるようにするわけです。
フォームの部品には、テキスト入力用のフィールドやラジオボタン、メニューなど、いろいろな種類があります。フォームの部品を使い分けられるように、部品の種類ごとにWidgetのクラスを定義しましょう。Webアプリケーションフォームに埋め込みたい部品ごとにWidgetのクラスインスタンスを作り、利用することになります。
図03 ウィジェットの機能
また、フォームの部品をひとまとめにして管理するために、Widgetのインスタンスを複数登録できるクラスを作ります。このクラスはWidgetのまとめ役となるクラスです。
ウィジェットの抽象クラスを作る
フォームの部品となるウィジェットのクラスを作る前に、ウィジェットクラスの親となる抽象クラス(BaseWidgetクラス)を作りましょう。
ウィジェットはフォームの部品となるHTML文字列を出力する役目を持っています。フォームの部品には、クエリのキーとなるnameアトリビュートの値やフォームのラベルなど、固有の情報を持たせる必要があります。この情報は状況によって変化します。このような情報は、ウィジェットの初期化メソッドに引数として渡すとよいでしょう。
以下のコードは、ウィジェットの抽象クラスの初期化メソッドの定義部分です。フォームの部品となるHTML文字列を作るために、先ほど作ったテンプレートエンジンを利用します。そのため、まずテンプレートエンジン(SimpleTemplate)をインポートしています。
初期化メソッド(widgets.py)
:::python
#!/usr/bin/env python
# coding: utf-8
from simpletemplate import SimpleTemplate
class BaseWidget(object):
"""
ウィジェットのベースクラス
"""
def __init__(self, name, label='', options=None,
validators=[], attrs={}):
self.name=name
self.label=label
self.options=options
self.validators=validators
self.attrs=" ".join('%s="%s"'%(k, v)
for k, v in attrs.items())
初期化メソッドでは、インスタンスオブジェクト自体を指す引数selfの他に、5つの引数を受け取っています。name以外の引数には初期値が割り当てられているので、オプションの引数となっています。nameはフォームのnameエレメントに埋め込む文字列を渡します。labelという引数には、フォームの部品の名称を示すラベルに表示する文字列を渡します。
optionsにはシーケンスを渡します。メニューやラジオボタンなど、複数の項目から1つを選ぶようなフォームの部品で利用することを目的とした引数です。
validatorsには、フォームの部品で利用するバリデータのインスタンスを渡します。フォームのクラスはバリデーションチェックを行うメソッドを持っていて、初期化メソッドに渡されたバリデータのインスタンスを使ってバリデーションチェックを行います。
atrrsという引数は、フォームのエレメントに埋め込むアトリビュートを指定するための引数です。フォームの部品となるエレメントには、nameアトリビュートだけでなくいろいろなアトリビュートを指定することがあります。たとえばフォームの見栄えを変更する目的でstyleアトリビュートやclassアトリビュートを設定することがあります。この引数は、そのような細かなカスタマイズを行うために用意しています。引数には辞書を渡し、辞書のキーと値でそれぞれアトリビュート名とアトリビュート値を指定します。
ウィジェットのクラスでは、抽象クラスで定義した初期化メソッドを共通して利用しています。
次に、フォームのHTML文字列を作るメソッドを定義します。テンプレートエンジンを使ってフォームの部品を表示します。
HTMLを組み立てるメソッド群(widgets.py)
:::python
def get_label(self, error):
body=("""<label for="${name}">${label}\n"""
"""$if error:\n"""
"""<span class="error">${error}</span>\n"""
"""$endif\n"""
"""</label>""")
t=SimpleTemplate(body)
return t.render({'name':self.name, 'label':self.label,
'error':error})
def get_form(self, value=None):
return ''
def display(self, value=None, error=None):
return self.get_label(error) + self.get_form(value)
このウィジェットでは、ラベルとフォーム本体を分けて表示します。ラベルの部分はどのフォーム部品でも共通化できますので、抽象クラスに共用するget_label()というメソッドを定義しています。
get_label()メソッドの内部では、テンプレートエンジンに渡すテンプレート文字列を文字列リテラルとして埋め込んでいます。ラベル部分には、メソッドの引数として渡したエラー文字列を表示するようにします。
get_form()メソッドはフォーム部品の本体となるHTML文字列を表示するためのメソッドです。このメソッドの返す文字列はウィジェットの種類によって異なります。抽象クラスでは、共通して利用するメソッド名を決めるために空の文字列を返す単純なメソッドを定義しています。また、このメソッドにはvalueという引数を渡します。フォームの部品にあらかじめ埋め込んでおきたい文字列などを渡すための引数です。
display()メソッドはウィジェットの出力するHTML文字列全体を返すためのメソッドです。ウィジェットを使う側では、このメソッドを呼び出してHTML文字列を取得します。このメソッドはget_label()とget_form()を間接的に呼び出し、ウィジェットの文字列全体を組み立てて返します。それぞれのメソッドに渡すために、引数valueとerrorを受け取っています。
最後に、バリデーションチェックを行うためのメソッドを定義します。初期化メソッドに引数として渡されたバリデータを元にバリデーションチェックを行います。
バリデートメソッド(widgets.py)
:::python
def validate(self, value):
from validators import ValidationError
error=None
for v in self.validators:
try:
value=v.validate(value)
except ValidationError, e:
error=e.msg
return value, error
バリデータはシーケンスに複数指定されて渡されることがあります。必須項目で、かつ整数というような複合的なバリデーションチェックに対応するためです。ループを組んでバリデータを取り出しつつ、validate()メソッドを使ってバリデーションチェックをかけています。
バリデーションチェックで値が不正であることを見つけると、ValidationErrorという例外が投げられます。バリデーションチェック時には、ValidationErrorという例外だけをexcept文で捕まえるようになっています。例外オブジェクトのmsgアトリビュートにはチェックが失敗した理由が文字列で格納されています。この文字列を取り出し、変数に代入しています。
このメソッドは2つの戻り値を持っています。1つは、バリデータによって変換された入力値です。もう1つはエラーです。2つ目の引数は、エラーが起こったときにのみ文字列が代入されます。エラーが起こらなかった場合にはNoneが返ります。
テキスト入力フォーム用のウィジェットを作る
ウィジェットの抽象クラスが定義できましたので、次はフォームの部品に対応するウィジェットのクラスを定義しましょう。まずは、文字列を入力するために利用する2種類のウィジェットを定義します。
初期化メソッドやバリデーションチェック用のメソッドは抽象クラスに定義してあります。ウィジェットに定義する必要があるのは、フォームの本体に相当するHTML文字列を出力するためのget_form()メソッドです。以下がテキストフィールド、テキストエリア用クラスの定義になります。
テキスト入力フォーム用のウィジェット(widgets.py)
:::python
class Text(BaseWidget):
"""
テキストフィールド用のウィジェット
"""
def get_form(self, value=''):
body=("""<input type="text" name="${name}" value="${value}" """
""" ${attrs} />""")
t=SimpleTemplate(body)
return t.render({'name':self.name, 'value':value,
'attrs':self.attrs})
class TextArea(BaseWidget):
"""
テキストフィールド用のウィジェット
"""
def get_form(self, value=''):
body="""<textarea name="${name}" ${attrs}>${value}</textarea>"""
t=SimpleTemplate(body)
return t.render({'name':self.name, 'value':value,
'attrs':self.attrs})
どちらのクラスも、get_form()メソッドを定義していて、テンプレートエンジンを使ってフォーム本体を表現するためのHTMLを出力しています。HTMLの中には、初期化メソッドで受け取った文字列などを埋め込んでいます。また、既定値をフォームに埋め込む用途を考慮して、valueという引数をフォームに埋め込んで表示するようにテンプレートを書いてあります。
なお、テンプレートの文字列を埋め込んであるリテラルの部分には、見慣れない表記が見えます。Pythonは、複数の文字列リテラルを丸カッコで囲むと、それぞれの文字列を連結して扱ってくれるのです。複数行にわたる長い文字列をスマートにソースに埋め込みたいときに利用すると便利なテクニックです。
メニュー・ラジオボタン用のウィジェットを作る
では次に、フォームに表示するメニュー(selectエレメント)を作るためのウィジェットクラスを定義してみましょう。get_form()メソッドのみを定義する、ということについてはテキストフィールドなどと変わりませんが、フォーム部品を表示するためのHTMLを出力テンプレートが少し複雑になっています。
メニューウィジェット(widgets.py)
:::python
class Select(BaseWidget):
"""
メニュー用のウィジェット
"""
def get_form(self, value=''):
body=("""<select name="${name}" ${attrs}>\n"""
"""$for v in options:\n"""
"""<option value="${v[0]}"\n"""
"""$if value==v[0]:\n"""
""" selected \n"""
"""$endif\n"""
""">${v[1]}</option>\n"""
"""$endfor\n"""
"""</select>\n""")
t=SimpleTemplate(body)
return t.render({'name':self.name, 'value':value,
'options':self.options,
'attrs':self.attrs})
メニュー用のウィジェットでは、メニューに表示する項目を複数HTMLの中に埋め込む必要があります。メニューに表示する項目は、文字列のシーケンスの形でウィジェットの初期化メソッドに引数として渡します。テンプレートでは、引数の内容を保存したアトリビュートを使って、項目を展開しています。
テンプレートの中には$for~:構文を使ったループが見えます。ここで、初期化メソッドに渡されたシーケンスを展開しています。フォームのメニュー項目では、<option>タグを使ってメニューの項目を表示します。ループを使って、必要な数だけoptionエレメントを繰り返しています。
メソッドに引数valueが渡されていた場合は、valueと同じ文字列を持つ項目を選択状態で表示します。メニューを選択状態で表示するにはselectedというアトリビュートをエレメントの中に記入します。そのために、条件分岐のロジックがループの中に埋め込まれています。
ラジオボタンウィジェット(widgets.py)
:::python
class Radio(BaseWidget):
"""
ラジオボタン用のウィジェット
"""
def get_form(self, value=''):
body=("""$for v in options:\n"""
"""${v[1]} : """
"""<input type="radio" name="${name}" value="${v[0]}"\n"""
"""$if value==v[0]:\n"""
""" checked \n"""
"""$endif\n"""
""">\n"""
"""$endfor\n""")
t=SimpleTemplate(body)
return t.render({'name':self.name, 'value':value,
'options':self.options,
'attrs':self.attrs})
ラジオボタン用のウィジェットでも、同様に複数の項目を繰り返す必要があります。テンプレートの繰り返しロジックを使って、複数のエレメントを文字列として生成しています。
ラジオボタンの場合は、同じ値を持つnameアトリビュートを埋め込んだinputエレメントを複数並べる形になります。テンプレート全体をループか囲む形になっているのはそのためです。
メニューと同じように、value引数が指定されたときのために条件分岐のロジックが埋め込まれています。ラジオボタンの場合には、checkedというアトリビュートを埋め込むことで選択状態の表示になります。
サブミットボタンとリセットボタン
サブミットボタンとリセットボタン用のウィジェットは、次のとおりです。それぞれ所定のinputエレメントを出力しているだけですので、特に解説する必要はないでしょう。
ボタン類のウィジェット(widgets.py)
:::python
class Submit(BaseWidget):
"""
サブミットボタン用のウィジェット
"""
def get_label(self, error):
return ''
def get_form(self, value=''):
body=("""<input type="submit" value="${label}" """
""" ${attrs} />""")
t=SimpleTemplate(body)
return t.render({'label':self.label, 'attrs':self.attrs})
class Reset(Submit):
"""
リセットボタン用のウィジェット
"""
def get_form(self, value=''):
body=("""<input type="reset" value="${label}" """
""" ${attrs} />""")
t=SimpleTemplate(body)
return t.render({'label':self.label, 'attrs':self.attrs})
フォームをまとめるウィジェットを作る
フォームの部品となるウィジェットを一通り作りました。最後に、ウィジェットをまとめて登録し、フォームとして管理するためのウィジェットを作りましょう。ウィジェットクラスのインスタンスを複数シーケンスとして登録して利用します。フォーム全体を表現するためのHTML文字列を出力する機能と、フォーム全体のバリデーションチェックを行う機能も持たせます。
まずは、クラスの定義と初期化関数を定義します。このクラスインスタンスは、フォーム部品となるウィジェットをシーケンスとして保持します。また、formエレメントのactionアトリビュートやmethodアトリビュートなどをこまかくコントロールするためにアトリビュートも指定できるようにします。
ウィジェットのシーケンスは初期化メソッドに引数として渡します。アトリビュートを指定するためには、ウィジェットのクラスと同様に辞書を引数として渡すようにしましょう。
Formクラスの初期化メソッド(widgets.py)
:::python
class Form(object):
"""
ウィジェットを登録するフォーム用クラス
"""
def __init__(self, forms, attrs={}):
self.forms=forms
self.attrs=" ".join('%s="%s"'%(k, v)
for k, v in attrs.items())
次に、クラスインスタンスに登録したフォーム全体を表示するためのメソッドを定義します。初期化メソッドで登録したウィジェットのシーケンスを使ってループを組みます。それぞれのウィジェットのHTML文字列を生成し、全体をformエレメントで囲んで表示します。
このメソッドは、フォームに埋め込んで表示する既定値と、ウィジェットに表示するエラーを辞書として引数に受け取ります。それぞれのウィジェットの既定値とエラー文字列は、フォームのnameをキーとして辞書に埋め込まれています。ループを処理する過程で、引数の辞書から既定値と値を取り出し、ウィジェットに渡しています。
フォームの表示メソッド(widgets.py)
:::python
def display(self, values={}, errors={}):
container=''
for f in self.forms:
container+=f.display(values.get(f.name, ''),
errors.get(f.name, ''))
container+="""<br clear="all"/>"""
body=("""<form ${attrs}>\n"""
"""${container}\n"""
"""</form>\n""")
t=SimpleTemplate(body)
return t.render({'attrs':self.attrs, 'container':container})
最後はフォームに登録されたウィジェット全体のバリデーションチェックを行うためのメソッドを定義します。アトリビュートからウィジェットを取り出し、それぞれのウィジェットに対してバリデーションチェックをかけていきます。
ウィジェットのバリデーションチェック用メソッドは、バリデータが変換した値とエラーを戻り値として返します。その結果を辞書に登録して、値用の辞書、エラー用の辞書2つを返り値として返します。
Formクラスのバリデートメソッド(widgets.py)
:::python
def validate(self, invalues):
errors={}
values={}
for f in self.forms:
value, error=f.validate(invalues.get(f.name, ''))
values[f.name]=value or ''
if error:
errors[f.name]=error
return values, errors
これでwidgetsモジュールは完成です。上記のコードを1つにして「widgets.py」というファイル名でcgi-binフォルダに保存してください。
ウィジェットとバリデータを使ったサンプルプログラム
ウィジェットとバリデータを使ったサンプルプログラムを作ってみましょう。これまでもフォームや入力値のチェック(バリデーションチェック)を行うプログラムをいくつか作ってきました。今回はウィジェットとバリデータを使って、項目の多いフォームを作ってみることにしましょう。
入力項目の多いWebアプリケーションとして思いつくのがアンケートフォームです。アンケートフォームとは、Webブラウザに表示したフォームに項目を入力し、アンケートを収集するためのWebアプリケーションのことです。このようなWebアプリケーションを作るときには、必須項目の記入漏れや打ち間違いのチェックが欠かせません。チェックなしに入力値を受け取ってしまうと、有効なデータが集められないのです。
プログラムでリクエストを受け取り、1つ1つの項目について値をチェックすることでもアンケートを作ることはできます。しかし、項目が多くなるとチェックが大変になり、プログラムの不具合も出やすくなります。また、フォームの数が多くなるとフォームを作るのも大変になります。
そこでここでは、ウィジェットとバリデータを活用して、気の利いたバリデーションチェック処理を含んだWebアプリケーションを作ってみます。フォームの項目管理と表示にウィジェットを使い、入力値のチェックにはバリデータを使います。また、データはO/Rマッパーを経由してデータベースに登録するようにします。
まず、Webアプリケーションで使うO/Rマッパーのクラスやウィジェットを定義するところから始めましょう。この定義は、Webアプリケーション本体のプログラムとは別の「widgettest_classes.py」というファイルに保存するようにします。
以下がO/Rマッパーのクラスを定義する部分です。POSTされた各項目について、データベースに保存できるようなカラムを定義しています。その後、必要があればテーブルを作っています。
O/Rマッピング処理(widgettest_classes.py)
:::python
#!/usr/bin/env python
# coding: utf-8
from os import path
import sqlite3
from simplemapper import BaseMapper
class Profile(BaseMapper):
rows=(('lastname', 'text'), ('firstname', 'text'),
('birthyear', 'int'), ('gender', 'int'),
('email', 'text'), ('url', 'text'),
('language1', 'text'), ('language2', 'text'),
('comment', 'text'))
p=path.join(path.dirname(__file__), 'questionnaire.dat')
con=sqlite3.connect(p)
BaseMapper.setconnection(con)
Profile.createtable(ignore_error=True)
次に、フォームを管理するためのウィジェットを定義します。先ほど作ったウィジェットでは、フォームの部品となるウィジェットをクラスとして定義し、ウィジェットをまとめるFormクラスに引数として渡す形式でフォームを定義することになっていました。また、それぞれのウィジェットクラスでは、クラスインスタンスを作るときに、フォームのラベルや項目の他、バリデータを指定できるようになっています。
フォームの管理(widgettest_classes.py)
:::python
from validators import NotEmpty, IntValidator, IntRangeValidator,\
URLValidator, EmailValidator, ValidationError
from widgets import Text, Select, Radio, Submit, Reset, Form
languages=[('', '---')]+[(x, x) for x in ['Perl', 'PHP', 'Python', 'Ruby']]
forms=( Text('lastname', u'名字', validators=(NotEmpty(),)),
Text('firstname', u'名前', validators=(NotEmpty(),)),
Select('birthyear', u'生まれた年',
options=[('0', '---')]+\
[(str(x), str(x)) for x in range(1940, 2007)],
validators=(NotEmpty(), IntRangeValidator(1900, 2007),)),
Radio('gender', u'性別',
options=(('1', u'男性'), ('2', u'女性')),
validators=(IntRangeValidator(1, 2),)),
Text('email', u'メールアドレス',
validators=(EmailValidator(),), attrs={'size':'40'}),
Text('url', u'URL',
validators=(URLValidator(),), attrs={'size':'40'} ),
Select('language1', u'一番好きな言語は?',
options=languages, validators=(NotEmpty(),)),
Select('language2', u'二番目に好きな言語は?',
options=languages, validators=(NotEmpty(),)),
Text('comment', u'一言', attrs={'size':'40'} ),
Submit('submit', u'登録'), Reset('reset', u'クリア'))
form=Form( forms, {'action':'widgettest.py', 'method':'POST'} )
記のサンプルでは、ウィジェットのタプルをいったんformsという変数に定義しています。タプルの中には、ウィジェットのクラスインスタンスの定義が並んでいます。この例では、変数などを経由せずクラスを直接定義して、オブジェクトとしてタプルに代入しています。
フォームに表示したい項目の種類によって扱うウィジェットのクラスを分けて定義しています。表示したい項目に合わせて必要なクラスを定義します。
また、表示に必要な項目、バリデータなどはクラスの初期化時に引数として渡しています。括弧の対応をよく見ながら、クラス定義の区切りに注意してコードを見ると内容をよく理解できるはずです。
formsという変数に代入したウィジェットのタプルは、Form()クラスのインスタンスを作る際に引数として渡しています。
テンプレートの作成
次に、フォームを表示するためのテンプレートを作ります。フォームの表示はウィジェットが担当するので、テンプレートはとてもシンプルになっています。テンプレートではフォームオブジェクトなどを受け取り、必要に応じて表示します。また、データの登録がうまくいったときにも同じテンプレートが使えるよう、$if構文を使って簡単なロジックが埋め込んであります。
questionform.html
::html
<html>
<head>
<meta http-equiv="content-type"
content="text/html;charset=utf-8" />
<link rel="stylesheet"
href="/style.css" type="text/css"/>
<style type="text/css"><!--
label {display:block; font-weight: bold;}
.error {color: #b21; font-weight: normal;}
--></style>
</head>
<body>
<h1 class="header">アンケート</h1>
$if not dataposted:
${form.display(values, errors)}
$endif
$if dataposted:
<p>アンケートを登録しました</p>
$endif
</body>
</html>
Webアプリケーションの作成
最後に、Webアプリケーション本体となるプログラムを作ります。O/Rマッパーのクラス、ウィジェットやテンプレートエンジンを活用して、処理を行います。30行弱のとても短いプログラムです。フォームの表示、およびクエリを受け取る処理を1つのプログラムで担当しています。
widgettest.py
:::python
#!/usr/bin/env python
# coding: utf-8
from simpletemplate import SimpleTemplate
from os import path
from httphandler import Request, Response
from widgettest_classes import Profile, form
import cgitb; cgitb.enable()
req=Request()
values={}
[values.update({k:req.form.getvalue(k, '')})
for k in req.form.keys()]
cvalues, errors=form.validate(values)
if len(req.form.keys())==0:
errors={'foo':'bar'}
res=Response()
p=path.join(path.dirname(__file__), 'questionform.html')
t=SimpleTemplate(file_path=p)
post_values={'form':form, 'values':values, 'errors':errors,
'dataposted':False}
if not errors:
post_values.update(dataposted=True)
body=t.render(post_values)
res.set_body(body)
print res
このプログラムで実行していることはとても単純です。
++ フォームを表示し ++ リクエストを受け取り ++ バリデーションチェックをかけて ++ 結果を表示する
ということだけです。バリデーションチェックの結果、入力に誤りがあったり、期待通りの値が入力されなかった場合には、フォームを再表示し、誤りの原因を表示します。
図04 エラーが起こったら、フォームにエラーを表示する
プログラムの流れはとてもストレートですが、ユーザになにをすべきかを的確に表示し、正しいアンケートを収集するための十分な仕組みが備わっています。また、プログラムの基本的な流れと、フォーム項目などの設定部分が綺麗に分離しているのもこのWebアプリケーションの特徴です。プログラムの流れ(遷移)を変更したいときには本体のプログラムを修正することになります。また、フォームの項目を増やしたり、バリデーションチェックの項目を変更するときにはウィジェットの定義を変更します。
Webアプリケーションの処理を抽象化することによって、プログラミングの効率がとても高くなります。同時に、プログラム内部での分化が進んで、プログラム全体の見通しがよくなるわけです。