世界で最も古いデジタル画像は，今から50年以上前の1957年前に作られました。当時アメリカの規格基準局で働いていたRussell Kirschさんはコンピュータに人間の知覚を与える，という目的で，当時まだ赤ん坊だった彼の子供の画像をコンピュータに取り込みました。当時のメモリ資源はとても高価で，176×176ピクセルの白黒画像を作るのがやっと。
Kirschさんの研究は，現在のデジタル画像の基礎になったことは言うまでもありません。もっとも当時の彼には，50年後に多くの人がより精細な表現力を持つディスプレイとデジタルカメラを携帯するなんてことは想像できなかったかも知れません。
そんな貴重な研究を成し遂げたKirschさんが，一つだけ後悔していることがあるそうです。それは，ピクセルを四角にしてしまったこと。実際，最近になって，四角でなく三角形のようなよりラフな形のピクセルを使って画像を表現するアルゴリズムを作り，50年以上前に作った息子の白黒画像に適用してみたところ，エッジがより鮮明になったとのこと。「ピクセルを四角にしたことは理論的な結果だと思う」と前置きをしながら，「もっと違った結果を導き出せたかも知れない」と後悔しているのだそうです。
