このサイトについて

親指シフトとTiger

親指シフトとTiger

私はもう10年来の親指シフターである。が,とみにここ数年,親指シフターの立場はあまりよくない。そもそも使っている人が少ない。専用キーボードが富士通から発売されているが,見つけるのに苦労する。とくに,現物を見てキータッチを確認してから,とか思うとたいへん。青山に「アクセス(http://www.saccess.co.jp/)」というお店があって,ここに行けば現物を見て触ることができる。

Macの場合はもっと大変。Tesla(http://tesla.sourceforge.jp/)というソフトを使うと,MacOS Xでも擬似的に親指シフトを実現できるのだけど,これがMacOS X 10.4(Tiger)ではそのまま動かない。Tiger対応パッチの入った最新のソースコードを入手して,Xcodeでコンパイル,手動でインストールしないとならない。しかも,古い設定が残っていたりすると動かないことがあるなど,使うには少々コツが必要。開発者の方(柴田さんという方,私と同じ名字だ)は忙しいようで,正式なTiger対応はしばらく先になるとのこと。ちゃんとテストをして,それなりのクオリティを持ったものをリリースしたいという信念があってリリースを遅らせているような雰囲気を感じた(勝手な想像だけど)。すばやくTiger対応パッチをリリースしてくれたことだけでも十分に有難いことなので,時間ができてから,また十分に納得してからリリースしていただきたいものである。温かく見守ることこそ,私のようないち利用者が今の時点でできる最大の支援になると思っている。

こうやって苦労をしつつ,これから先も親指シフトを使い続けるんだと思う。打鍵数が少なく,かつ直感的に入力できる親指シフトは,ローマ字変換に比べてとても生産性の高い入力方式だと確信するからである。

広めようという気持ちはちょっとだけあるが,実際は難しいだろうし,事実これまで布教に成功したことはあまりない。一週間くらい集中して時間をとって,使い方を覚えないとならない。そこまでコストをかけて,新しい入力方式を学ぼうと思う人は少ないと思う。が,時間をかけて学習する価値は十分にあると思うし,現実的に親指シフトを使っていない人は,不要な労力を払って日本語入力をしていると思う。もったいないよな。

「親指シフト」が急に「なくなってしまう」リスクがあるかというと,そうでもない,という気がしている。現状,親指シフトの周辺には「日本語入力の生産性」とか「MacOS Xでコードをビルドできる人」とかいった,とても「濃い」人材が凝縮しているからである。SN比が高いことはコミュニティとしては理想的だと思う。「OASYS世代から若い世代へのバトンタッチ」が必要な時期は来るかも知れないけど,まだ先だろうし。

というようなわけで,「秘密兵器」として「親指シフト」を活用している今の状態も,そんなに悪くないのかなあと思っています。

2010-08-27 04:35